2019年9月に日本を襲った台風15号(ファクサイ)は、各地に大きな被害をもらたして去りました。
わたしの住む千葉県の大部分では建物やインフラ設備の倒壊が目立ち、世間に大きな波紋を呼びましたね。
住処は5日間ほど停電し、生活に支障をきたすまでに。
ひっそりとしたまちの、暗い部屋で独り過ごしながら下記のようなことを考えていたのです。
- 災害時に普段どおりのサービスが提供されると思うな。そして期待するな。
- クリエイティブ思考でとにかく生きることに執着せよ。
- 人とのつながりで心を健やかにせよ
いつか、誰かの役に立てばと思い、ここにメモを残します。
※あくまでわたしの体験談であり、一般的な停電対策とは異なります。
※停電生活に特化した記録であり、台風対策のことは書かれていません。
はじめに
下記に記したのは生活全般、まちの状況、仕事や精神面に関する当時の記録です。
ちなみに、その時のわたしのステータスはこんな感じ。
千葉県在住、茨城県在勤
圧倒的クルマ社会
アパートは5日間の停電
水道、ガスは問題なし
9月中旬。最高気温は30度超え
…改めて辛い日々だったなと思い返しますが、案外生きていけました。
冒頭に挙げた3つの教訓、この3つだけ意識していればとにかく死ぬことはない。
食べ物
まちが停電したその日からコンビニの商品が消えました。
後述する交通の乱れやガソリン不足によって、流通もままならない状況に。
スーパーではカップ麺や缶詰など、保存の効く食料から品切れになっていきます。
停電状態にある飲食店はもちろん営業を控えます。
わたしの住む香取市は、千葉県の最北部。利根川を渡るとそこは茨城県です。
クルマでぐるりと周ったところ、近隣エリアの飲食店はパンク状態でした。
知り合いによると、ラーメン屋も1杯提供されるのに1時間待ちだったとか。
ファストフード店のドライブスルーも、大量買いにより長蛇の列を成していました。
わたしはひたすら自炊で耐えることに。
そもそも1日1食程度しか食べることもなく、備蓄していた食材で5日間は凌ぐことができました。
有事に備えて買い込んでいた、というわけではありません。
常時冷凍庫に入れている肉類、米、缶詰、乾物、それと調味料。
幸い、水もガスコンロも使えたので調理はできました。
土鍋で米を炊き、煮干しやわかめで味噌汁を作り、溶け出した肉から料理していく。
(ガスが止まっていたら…と思うとカセットコンロは必須です)
ちょっとしたコツをおさえれば、土鍋で米を炊くのは難しくありません。
ネットで調べればいくらでも情報は出てきます。
感覚ですが、2〜3合一気に炊くほうが美味しくできる気がします。
冷凍庫、冷却機能こそ使えませんが、上手く付き合うことで保冷効果を高めることができました。
ポイントは開け閉めを最小限に留めること。
カチカチの肉がたくさん敷き詰められていたからか、3日目くらいまでは全く問題なく冷凍されていたようです。
1点、コンビニで売れ残っていた激辛ラーメンについて。
一般的なインスタント麺は品切れだったものの、辛ラーメンなど辛味をウリにしたカップ麺や袋麺が大量に売れ残っていました。
あれ、別に麺が辛いわけじゃないんですよね。付属の調味料が辛いだけです。
湯がいたあと、ごま油や醤油で味付ければそれなりのまぜそばになります。
他に選択肢がなければオススメです。
飲み物
水道は出たので特に不便しませんでした。
浄水器で常に水を確保するほか、麦茶やプロテインで喉を潤しました。
前述したように、コンビニやスーパーはほとんど機能しません。
水やお茶はいつでも、ほとんどなかったような気がします。
毎日飲酒する習慣のある人は大変かと思います。
流通が機能しないと、酒の調達は難しくなってきそう。
もっとも暗い部屋で、明日どうなるとも分からない状況で酒を愉しめるのか…というのもありますが。
酒に逃げるな。現実を生きよ。
交通
クルマ社会に生きています。電車の状況はちょっとよく覚えてない…
最寄りのローカル線は2、3日運休してたかもしれません。
もっぱらクルマで移動してました。
たまたまガソリンがフルに近かったので、移動手段には困りませんでした。
ただ停電も4日を過ぎる頃から、燃料を節約しなければ最悪死ぬな…とも感じるように。
買い物など、停電していないエリアに出ていくしかなかった。クルマが使えなくなったら完全に孤立するなぁと。
実はこの少し前から仕事でキックボードを使うようになっていて、まちなかの移動なんかは大活躍してました。
…アホみたいな話ですが、仕事ではわたしこれ乗って普段地域を巡っています。
5km圏内なら往復しても問題なし。非電化かつポータブルなモビリティとしてとても便利です。
みなさんもクルマのトランクに1台積んでおきましょう。
停電エリアは信号や街灯が点かず、しばらくは事故が多発していました。
安全運転、かもしれない運転はもちろん、不要不急の外出は死を招くな…と強く実感。
通信
停電でWi-Fi機器が止まったことで発覚、我が家は4Gが全然入らないアパートでした!
スマホはLINE通話ができない程度、PCは触るとひんやりするだけの板に成り下がる。
これにはやや危機感をおぼえました。
リアルタイムに情報が手に入らないことが、こんなにも恐ろしいとは…
特に見たかったのはこのあたりの情報です。
▼停電情報 -東京電力パワーグリッド
http://teideninfo.tepco.co.jp/
▼台風情報 – 気象庁
https://www.jma.go.jp/jp/typh/
茨城県内の職場は問題なく通信ができたので、本当に助かりました。
仕事をする上では特に困ることはなかったです。
入浴
ガスはそこにあるのに、電気が通っていないせいで給湯器は置物になりました。
停電のはじまった日から水シャワーで入浴を済ませるように。
…これが全っ然、困らなかったんですよねぇ。
水道の水、みなさんどれくらいの温度があるものかご存知ですか?
夏は20度後半、冬は10度前後らしいです。
外気温よりは大きく動かないみたいですね。
当時やや暑かったのもあり、水シャワーはむしろ気持ち良いくらいでした。
それどころか、朝は目覚めやすいし肌の具合もなんだか良い。
実は今でも水シャワーで過ごしてます。水シャワーは最高。
毎月のガス代は¥1,000くらいです。
洗濯
洗濯機は使えない。なので風呂場で手洗いしてました。
下着、タオルなどはその日のうちに。
待っていれば電力復旧しないかな…と思いつつTシャツやパンツはそのまま溜めていました。
結果、5日で洗濯機が復活したので助かりました。
冷暖房
停電期間中はほとんど真夏日。冷房が使えないことで死を感じました。
夏の暑さと冬の寒さはやばい。死ぬ可能性がある。
こればかりは堪えました。
今回は暑さ対策として水シャワーで耐え忍ぶことに。
冬、我が家の主役はアラジンストーブ、これは非電化です。
上で焼きイモ焼いたり、お湯沸かしたりすることもできます。
停電中の冷暖房はちょっと考えないとなぁ…
仕事
職場にはもはや心の安定を図りに通っていたといっても良い。同じ境遇のスタッフと励ましあったり、仕事に打ち込むことで不安をかき消したり。
また、地域の情報発信事業を行っているのですが改めてじぶんの仕事の大切さに気づくきっかけにも。
行政情報や店舗の営業状況など、しかるべきタイミングで正しい情報を届けることが生死につながる。
「地域のつながり」ってのは、こういうときに真価を発揮するのだなぁとも思いました。
おわりに
停電当時のメモを元に書き起こしたので、整然としたものでもなければ、情報にも偏りがある記事になってしまいました。
災害には物理的な備えも大切ですが、とにかく生きることにこだわって行動することが大切だと思います。
既存の考え方にとらわれず、あるものを上手く活用して暮らすことで、勝てなくても負けない工夫はできます。
また、改めて人は社会的な動物であり、独りで生きていくことなど到底できないと悟りました。
大きな災害に巻き込まれないことが一番ですが、常に最悪のケースを想定して準備をしていきましょうね。