【地域おこし協力隊】天は人の上に人を作る。でも誰もがマネジメントできるとは思うな。

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何事においても組織を成すと、どこかのタイミングでマネージャーという存在が生まれる。
マネージャーには誰でもなれる。でも、誰もがマネジメントができると思ってはいけない。
能力や人格の問題ではなく「性質」のちがいがある関係性なら、外部のマネージャーに任せた方がよいこともありそうだ。

地域おこし協力隊のマネジメント

2015年から2018年まで、茨城県稲敷市というまちで「地域おこし協力隊」として活動していた。そして任期後も茨城県内全域の後発育成や、行政と隊員の間で中間支援のようなことを行っている。

今日も某自治体の話を伺う機会があった。その地域ではわたしの在任中から協力隊制度を導入しており、現在までに延べ10名以上の隊員がそのまちで活動を続けてきた。

ただし、行政組織の特性としてジョブローテーションがある。今日お話を伺った職員は、まちに協力隊が導入されて数年後に担当課へ異動されたのだった。

担当部署としてこれまで培ってきたノウハウはきちんと共有されている。そのうえで、地域おこし協力隊のマネジメントは非常に骨が折れるとのことだった。

 

わたしの所感だが、このまちの協力隊および担当職員チームは非常に「よくまとまっている」と思う(おこがましい話ですが)。隊員も職員もそれぞれ能力が高く、お互いの立場の異なりをよく理解しており、また率直な意見を交わしつつ建設的な議論ができる関係性も築いている。肩書を外した上での、人間同士の付き合いも良好に見える。決して誰かが劣っているとか、まちがっているとかそういうことはこのチームにおいてはなさそうだ。

それでいてなお、マネジメントは難しいということだった。

異者をマネージすることはむつかしい。

そもそもの「性質」がちがうと、誰かが誰かをマネージするというのは難儀なのかもしれない。

地域おこし協力隊が行政マンと大きくちがうところは、以下の2つだとわたしは思っている。

 

1)期限付きの契約である

地域おこし協力隊は1年ごとの雇用契約更新、最長3年までという条件が原則的な要項には記載されている(もちろん例外もある)。公務員試験を経た行政マンには、一般的に任期というものはなく定年あるいは自分の定めた退職の日まで働くことができる。

時間的に大きく制約があるという意味で、協力隊にはまず行動力が求められる。この行動力とは3つの要素から構成されている。ひとつは量、ふたつめは質、もうひとつは意志だ。どれも重要だが、マネジメントの観点からすると3つめの「意志」が重要である。行動における意志とは燃料のようなものだ。自らのケツを叩き、エンジンを唸らせるエネルギーを自ら生むことができるかどうかが行動の量と質に関わる。行動の成果がそのまま彼の評価だ。

行政マンに行動力が求められない、というわけでは決して無い。しかし、行政マンが自分の意志で行動し始めたらそれはもう「行政」ではなくなってしまう。

 

2)自発性と創造性を求められる

行政仕事はとてつもなくクリエイティブだ。3年間市役所という組織に身を置いたわたしはそれを肌で感じることができた。外からは不動を貫く山のように見えるが、内部では日々イノベーションが群発している。行政は「組織」としての創造性に富んでいる。

地域おこし協力隊は自らの内側から湧き上がる自発性と、それを表現する創造性が重要だとわたしは思う。自発的な活動については上記の「行動する意志」に通ずるかもしれない。創造性は字面通り、地域において新しいアイディアを生み出すことだ。創造性に必要なのは2つ。情報収集と企画調整ではなかろうか。「わたしはアイディアを出すのが苦手」という人も多いがそれは怠慢だとわたしは考えている。関連する情報を集めて、正しい順序でつなげていけば新しいものが生まれる。時間と労力をいかに上手く投入するかではないだろうか。

 

こう考えてみると、やはり行政組織のルール上で地域おこし協力隊をマネジメントしようとする試み、それ自体が無理難題ではないかなぁ。

「協力隊自体が国策じゃないか」という意見は否定しないが、市町村における人材登用とはやはり性質がちがいすぎる。

 

それでも構造上、市町村に地域おこし協力隊のマネージャーは置かれる。でも、彼の能力うんぬんに関わらず、彼にマネジメントを任せること自体が不幸を導いているような気もするのだ。

マネジメントは適任にお願いするのがよい

ところで、社会には「マネジメント」それ自体でメシを食っている人もいる。マネージャーとプレイヤーの間に立って、潤滑油のように働きかけることで全体の成果を向上させる。

また、全国各地には地域おこし協力隊を経験した元プレイヤーも多く存在する。そういった人材を活用していくことで、後発育成は加速度的に進行していくかもしれない。

協力隊のその後に関しては、個人が積極的に情報を発信していない以上なかなか追うことができない。県やブロックなど広域で仕組みが作れるとまた変わってくる可能性がある。

 

地域おこし協力隊に関して言うと、受け入れに関する基本的な費用は国の方から補填されるため、それ以上のことをやろうとすると自治体側でコストを計上しなければならない。全国どこも似たような募集要項になってしまっているのは、そのあたりにも要因があるかもしれない。

コーディネート業務も「それ以上のこと」に当てはまるので、やはり導入しにくい。行政の負担を軽減しつつ、協力隊のマネジメントを外部に委託できるような仕組み作りは今後考えていきたいと思う。

おわりに

毎日さまざまな仕事してて、うっかりするとその日の思考パタンを全部忘れてしまいがち。忘れないようにいろんなプロジェクトのメモをブログに残しておこう。

今日は意見だけ放る。改善案は未来の自分に期待します。

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