社会を良くする活動こそ必要な広報・マーケティング。
自団体の「支援者」が見えないとお嘆きのあなたに。
もくじ
社会をよくする「文化」を作りたい
こんにちは。しましまこと高島聖也(@seiyatakashima)です。
ファンドレイジングの基礎知識である「ドナーピラミッド」の考え方を共有します。
クラウドファンディングを実践される方は必見かもしれません。
突然ですが、わたしは現在NPO法人SMSCというソーシャルセクターの広報を務めています。
地域福祉の観点からまちを良くする事業を各種行っている団体です。
「地域おこし協力隊」時代から何かと付き合いのあったこの組織の中で、今大きく強化しようとしているのが広報・マーケティングの領域。
その中でも特に、ファンドレイジング戦略の構築と実践が近々わたしに課せられているミッションです。
※この記事で「ファンドレイジングとは何か?」についての説明は省きます。
「NPOなのにマーケティングが必要なの?」
「福祉事業所がなぜ広報を?」
「非営利団体が資金調達をするの?」
未だに広義の意味での非営利団体=NPOについての社会的理解が不足していると日々実感するところでもありますが、NPOがファンドレイジング力を高める理由は実にシンプルだと思います。
ファンドレイジングは直訳すると資金調達。文字をそのまま取れば、社会を良くするための事業資金について支援を募ること、のように見えます。
ただ、ソーシャルアクションについての支援は単に寄付や募金だけにとどまりません。
ボランティアやプロボノとして事業の運営に関わること。
社会事業によって生まれた商品やサービスを購入・消費すること。
団体のSNSをフォローしたり、投稿をシェアしたりすることも支援活動に含まれます。
さまざまな立場の人が、社会を良くする事業やその団体に、それぞれの程度で関わる。
ひとりでも多くの人が、昨日より少しでも社会について目を向け、頭をはたらかせ、手を動かす。
そういった緩やかなムーブメントが、地域や社会を断続的に良くしていくのだと考えています。
これは言い換えれば「文化の振興」だと思うのです。
日本における寄付市場の伸びは、先進国の中でも大きく遅れています。
わたしの周りではここ数年でクラウドファンディングが一般化してきて、事業の立ち上げに活用したり、日常的に支援を贈る人が増えてきてはいます。
ただそれでも、全体としてはまだまだ小さな動きでしかない。
NPOの広報として働く身としてはーー自団体だけに関わらず、広く日本の寄付文化の振興を進めていきたいと考えています。
それには、目の前のことから着実に取り組んでいくしかないのですが…
事業の黎明期こそ「巻き込み力」を高めよう
さて、そんなわけで仕事の合間を縫ってはファンドレイジングやボランティア論に関わる研修に参加したりしています。
先週はファンドレイジング・ラボ徳永さんが講師を務める「ドナーピラミッド」の実践講座に参加してきました。
これが非常に身になったと同時に、社会事業の駆け出し期において特に必要なメソッドだと感じました。
特に社会を良くする取り組みは、立ち上げだけに限らず、一定の期間以上そこに原資を投入していく必要があると考えています。
理念はすばらしい。目指す未来像も合理的。
ただ、活動を続けていくことができない。
そんな取り組みを、これまでたくさん見てきました。
単にリーダーを中心とする人びとの熱量の問題ではない場合も多いものです。
その熱量を持続していくために、社会を良くしていくために、必要なのは継続して支援を受け続ける力だったりします。
「巻き込み力」。
人を、社会をどれだけ巻き込んでいけるか。
特に社会事業の黎明期に必要なものだと考えています。
ドナーピラミッドとは?
ではここから上記研修のまとめを公開します。
ベースが弊法人に提出した研修報告書なので、メモ書き程度ではありますがぜひ参考になさってください。
画像参照:http://fundraising-lab.jp/archives/435
「ドナーピラミッドdonor pyramid」
・社会的取り組みへの支援者は「支援度」「関与度」により三角形の層を成す
・上記の度合いが高いほど、全体における人数の割合は少ない
・最下層には今後支援が見込めそうな「潜在的寄付者」が存在する
→対象範囲をある程度絞り込んだ効率的なキャンペーン展開が可能
→支援者層ごとに異なる訴求や依頼の方法を検討可能
参考:寄付集め7つのステップ「Step 2 既存寄付者・潜在的寄付者の分析」
http://fundraising-lab.jp/archives/435
支援者の気持ちを満たすMITAS
「MITAS」
・支援者の認知獲得から実際の行動を促す段階的アプローチ
–Moved(感動):ストーリーテリングにより心を動かす
–Interest(関心):分かりやすさと客観性により共通認識を獲得する
–Trust(信頼):取り組みの情報開示などを通じて信頼、信用を得る
–Action(行動):気軽さ、手軽さを意識した支援導線を確保する
–Share(共有):支援者を介したコミュニティ性を確立する
→ドナーピラミッドの各層によりアプローチ方法は異なる
→「潜在的寄付者」は上記どこかの段階で停滞している可能性あり
潜在的寄付者を見極める
「潜在的寄付者」
・実際の支援にはつながっていないが、今後支援が見込めそうな人たち
・団体や活動のキーワードを抽象化することで発掘することができる
ex)〇〇に関心がある/取り組んでいる地域にゆかりがある/他に〇〇に支援している
ドナージャーニーの考え方
「ドナージャーニーdonor journey」
・支援の各フェーズを構造化したもの
–接点:団体や取り組みと支援者の接しているポイント
–行動:「接点」において支援者はどういう行動を取りたいか/取るべきか
–思考:「行動」について支援者はどのようなことを考えているか
–課題:「行動」にあたり今抱えている課題はどのようなものか
–施策:「課題」に対して団体としてどう働きかけるか
・MITASと並行して考えることで支援者の状況と推し量ることができる
http://fundraising-lab.jp/archives/1421
おわりに
いかがでしたでしょうか。
情報の粒度としては極めて荒く、箇条書き的な表現なのでわかりにくい点もあったかもしれません。
もう少し詳しく知りたいという方は、下記のファンドレイジング・ラボ公式HPをオススメします。
「3分間ファンドレイジング講座」というコーナーが読みやすくていいですよ。
▼ファンドレイジング・ラボ
http://fundraising-lab.jp/
また、もうすこしファンドレイジングについて体系的に学びたいという方は下記の書籍が大変にオススメです。
類似の書籍をいくつか読むより、まずはこれを一読すると良いと思います。